代表執行役社長 宋 修永インタビュー

トップインタビュー デロイト トーマツ コンサルティング代表取締役社長 宋 修永

時代のニーズをキャッチしパフォーマンスを発揮できた者が成長の機会を得られるのです。

――はじめに、ここ数年来のコンサルティング業界にはどんな変化が訪れているかを教えていただけますか。

ことさら顕著なのは、クライアントのニーズがデジタル領域をはじめとする技術トレンドに変わってきている点です。

要するに専門領域ですから、我々の業界は今、最先端テクノロジーの研究はもちろん、ニーズに応えるためのケイパビリティの再構築などで、あらゆるリソース争奪線が激しく行われている最中です。

――かつてのコンサルティングとは何が違ってきているのですか?

私流に言えば、コンサルタント=先生ではなく、専門家でなければ通用しなくなったことです。

たとえばベンチャー企業に対して、今日現在何ができるか? 会計や人事システムのアドバイス? 10年前ならそれでもよかったでしょう。しかし昨今は、自動化やAIに関する対話を先方と対等レベルでこなせた上で、クライアントの期待を超える価値を提供しなければなりません。これは自分に向けた戒めでもありますが、私には16年のパートナー経験があり、ビジネスの現場も熟知しています。しかし特にここ数年は、そんなレガシーだけで稼げる時代ではなくなりました。

なぜなら、テクノロジーは常に進化し、先を予測して仕組みをつくることがどんどん困難になっているからです。過去の分析に重きを置いてコンサルティングができる時代ではなくなりました。となればこの先、従来の戦略系や経営系といったコンサルティングファームは無用になるでしょう。そこには強い危機感を抱いています。しかし、だからこそおもしろい時代になったとも言えるのです。

――何がおもしろくなるのですか?

積み重ねたキャリアが意味を持たなくなるのであれば、パートナーだから偉いとか、新人は時を待たなければならないというような、古い方法論では仕事にならなくなる。

ということは、時代のニーズをキャッチしパフォーマンスを発揮できた者が成長の機会を得られるのです。そこには若手もベテランも、新卒も経験者採用も関係ありません。それって、おもしろいでしょう。特に若い世代にとってはワクワクする世界だと思います。

――そうしたコンサルティング業界の変化に対して、DTCにはどんな有効なポイントがありますか?

まずは、国際的なビジネスプロフェッショナルネットワークであるDeloitteのメンバーファームであること。各国の現地ファームとの連携は常にスムーズかつスピーディで、その親密さは友人というより家族に近いものがあります。先にクライアントのニーズがデジタルトレンドに変わってきていると申しましたが、その分野への投資が速い欧米からは、グローバル事例のソリューションを入手することができます。逆にDTCからグローバルに向けてタスクフォースを立ち上げることも頻繁に行われています。

――グローバル事例を入手するという話が出ましたが、そのソリューションは国内で応用が利くものですか?

いえ。少なからず調整が必要ですし、単純に応用が利くほどビジネスは甘くありません。ですからDTCでも独自のソリューションやストラテジーを構築するために、未来に向けた投資を積極的に行ってきました。社会アジェンダの取り組みや、新産業の創出に向けたルール形成戦略、デジタル領域に特化したDeloitte Digitalの日本拠点立ち上げ等々。

すべては日本企業が新たな市場創造の先頭に立つための支援が目的で、この10年間で行った投資は2年前から爆発的な成果を見せ始めました。人からよ良く言われます。「DTCは不思議な会社だ。なぜこんな急成長ができるのか」と。数字だけを見れば確かに謎でしょう。しかし我々は、日本の将来に対する危機感から目をそらさず、一時的には成長が緩やかになろうと、強いファームになるため、クリエィティブに投資する文化を育ててきました。

――DTCなら投資も文化になると?

我々には、さらに昔から根付いている誇らしいカルチャーがあります。それは、人を大事にする文化です。無論、結果を出してこそのプロフェッショナルですが、必ずしも業績だけで個人を評価せず、人間性を考慮した多角的な判断を行います。そうした関係性は、グローバルのメンバーファームと言いつつ、また外国人も共に働きながら、実に日本的と評していいでしょう。その根幹にあるのはチームワークを重んじる精神です。

人間性やチームワークを重んじる文化。それは他のファームにない、私がこの会社でもっとも好きなところです。

――韓国出身の方が日本的という表現を用いるのも不思議な感じがします。

それは、私が外国人だからなおさら痛感することなのです。少し自分の話をしますが、たった一人で日本に来てこの会社に入ったとき、私は誰にも負けないエリートだという自尊心が強かったのです。しかしDTCには、もっと凄いエリートがたくさんいた。しかも彼らは皆、協力し合うことで全体の競争力を高めていた。最初は奇妙でしたが、すぐに答えがわかりました。この一寸先が闇のジャングルのような世界では、たった一人の力で生き延びるのは無理。

だからこそDTCは、人を大事にし、仲間を助け合う文化をつくってきたのだと。それからは仲間になるための、皆の役に立つための努力をしました。そうしたチームワークがあったからこそ、私は今この場にいられるのです。時代がいかに変化しようとも、DTCが人やチームワークを重んじる文化は変わりません。それは他のファームにない、私がこの会社でもっとも好きなところです。

――人という点では、積極採用を行っているのもDTCの特徴ですね。

コンサルティングは何より人! 優秀な人材を獲得するのがこのビジネスの根本ですし、新たな仕組みづくりへの投資も継続していますから、我々が仕事をし続ける限り人は採用します。現にこの10年、業績がどうあれ採用凍結をしたことがありません。

――現在の職務に就かれたのは2018年6月1日ですが、新社長として取り組みたいことは何ですか?

まずは、働き方の文化を変えたい。コンサルティングファームに対する世間の認識は、ハードワークかつロングタイム。それを放っておくと、コンサルティングファームから人材が遠ざかります。これは業界全体の死活問題です。実際のところ、長い時間会社にいたところで優れたアウトプットが出せるわけではありませんよね。具体案の提言は少し先になりますが、働き方については徹底した効率化と収益性を上げるための抜本的な方策を打ち出します。他のファームがびっくりするような仕掛けを考えています。

――可能な範囲で具体的なアイデアを教えていただけますか?

効率化と収益性のアップは人の価値に直結しますから、これまで以上に質の高い研修を実施します。在宅勤務等の制度に問題が生じるなら、スタッフレベルとブレーンストーミングして解決策を見出します。またプロジェクトにおいても、長時間労働が問題になると予見された時点でプロジェクト自体を畳むことも可能性としてはあります。

――損失を承知の上で?

極端に聞こえるかもしれませんが、そこまで徹底しないと働き方文化の改革は実現しませんし、細部に渡ってCEO自らコミットする覚悟を持たなければ、DTCも業界自体も早晩限界を迎えます。身を粉にして働くんだという気概でここまでやってきた私が変われば皆も変わる。それが信念です。

――文化に満ちたDTCでは、どんな人材を求めていますか?

個人の強さは大事ですが、それ以上にチームワークを大事にする人。それから、経歴に関係なく、好奇心を力に換えて新しい地平を開拓したいと考える人。特に私のスタイルがそうなのですが、自分の価値を出すためにはすべてをさらけ出してでもアピールしないと仕事にならないのがコンサルタントです。そんな姿勢がクライアントのためになるなら、必ず仲間が助けてくれます。

――最後に、DTCの選考受験を検討している候補者の方々にメッセージをお願いします。

何も疑わず、不安も持たず、DTCの一員になってください。DTCでの仕事は、皆さんのキャリアにとって必ずプラスになります。初めてコンサルタントになる方でも、この世界で十分通用するトレーニングを用意しています。かつてメーカーに在籍していた私がここにいることがその証明です。共に助け合う文化の中で、より強力なプロフェッショナルファームをつくり上げていきましょう。

プロフィール

宋 修永

代表執行役社長

韓国の大手電機メーカーで大規模のGlobal BPRプロジェクトに携わり、コンサルタントに転身後はグローバルERPベンダー、コンサルティングファームなどでグローバルSCMコンサルティング部門のリーダーとして活躍。グローバルSCM分野での戦略策定、業務プロセス・組織改革、IT計画策定・実行支援などを自動車、電機、ハイテクなどの製造業を中心として数多く手掛けている。

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